ピラティスには、創始者の教えを忠実に継承するものから、現代の解剖学・運動科学を融合させたものまで、指導者育成団体によってさまざまな「流派」が存在します。BASI・STOTT・PHI・Polestar・Balanced Bodyなど、それぞれの特徴・違い・リフォーマーとの関係をわかりやすく解説します。
1|流派の全体像:3つのカテゴリで整理する
ピラティスの流派は大きく「クラシカル系」「コンテンポラリー系」「リハビリ系」の3つに分類できます。
クラシカル系(創始者の教えを忠実に継承)
ロマーナズ・ピラティス
ジョセフ・ピラティスの直弟子ロマーナが継承した最も正統派な流派。オリジナル34エクササイズを決まった順序で実施し、動作の変更・省略を行わない。純粋なピラティスを求める上級者向け。
ピーク・ピラティス
クラシカルをベースに解剖学を補完。比較的手頃な費用でリフォーマー指導資格を取得でき、インストラクター育成に重点を置いたカリキュラム。
コンテンポラリー系(現代科学・解剖学を融合)
バシ・ピラティス
ラエル・イサコウィッツが創設。クラシカルにダンス・ヨガ・現代科学を融合した「流れるような動き(Flow)」が最大の特徴。国際的認知度が高く、日本では代官山に拠点を持つ。
ストット・ピラティス / Merrithew
「ピラティス界のアイビー・リーグ」と称される最高峰の資格。ニュートラルスパインの概念を徹底し、マタニティ・ゴルフ・ランナー向け特化コースも豊富。学術性・専門性が最高水準。
バランスドボディ
リフォーマーをはじめとするピラティス器具の世界最大メーカーによる資格団体。機材開発と教育が一体化し、器具への深い理解が強み。器具ごとに個別受講できる柔軟設計。
リハビリ系(医療・姿勢評価に特化)
ピーエイチアイ・ピラティス
姿勢評価(ポスチャー・アセスメント)に基づくエクササイズ処方が強み。「なぜその動きが必要か」を根拠から学ぶスタイルで、理学療法士・コンディショニングコーチとの親和性が高い。
ポールスター・ピラティス
身体・心・精神の統合を哲学に掲げる。リハビリテーション・医療分野での認知度が高く、養成課程は約450時間と主要流派の中で最も充実している。
ボディ・エクスペリエンス・スクール・ジャパン
日本国内向けに設計され、日本語で学べる点が最大の利点。国際資格ではないが国内スタジオ就職には十分。グループレッスン指導スキルに特化し、比較的短期・低コストで取得できる。
2|リフォーマーに注目した流派比較
リフォーマーはピラティスの花形器具ですが、流派によってその使い方・哲学・推奨マシンが大きく異なります。
BASI Pilates
🇺🇸 カリフォルニア / フロー重視「Flow Work」に基づき、エクササイズが途切れなく連続して流れるよう構成される。動作間の"つなぎ"も指導の一部として重視し、全体として美しいムーブメントになるよう設計。
BASI Systems専用機との親和性が高い。独自のEPS(Educational Pulley System)と連動したキューイング体系を持ち、他メーカー機材ではキューの一部が変わる。スプリングは4本・独自テンション。
STOTT PILATES / Merrithew
🇨🇦 カナダ / 解剖学重視ニュートラルスパイン(自然な脊椎弯曲の保持)を最重視。エクササイズごとにモディフィケーションが豊富で、初心者〜アスリートまで個別対応しやすい。キューイングは関節動作・筋作用に基づき構造化。
Merrithew V2 Max Plus との組み合わせが最適。スプリングは100%・50%・25%の相対比率で表記するシステムを採用。カナダ・英国・オーストラリアでの流通量が多く国際的汎用性が高い。
PHI Pilates
🇩🇪 ドイツ / 姿勢評価重視まずクライアントの姿勢評価(ポスチャー・アセスメント)を行い、その結果に基づいてエクササイズを処方する。「なぜこの動きが必要か」という根拠重視のスタイルで、パーソナル指導での根本改善に強い。
汎用機(Balanced Body・ALIGN等)を使用することが多く、特定機材への縛りが少ない。器具の呼称がやや独自で「バレル」コースで扱うのはスパインコレクター(ラダーバレルは別)。
Polestar Pilates
🇺🇸 マイアミ / リハビリ重視臨床治療とピラティスを融合させたリハビリ特化スタイル。リフォーマーを「治療ツール」として捉え、観察・対話・ティーチングを同時進行で行う。スタジオ用とリハビリ用の2ディプロマ制を採用。
Balanced Body社製マシンを主に使用。養成時間は約450時間と主要流派の中で最も多い。リハビリディプロマ取得には医療資格(理学療法士等)が必要。
Balanced Body
🇺🇸 サンフランシスコ / マシンメーカー直系機材メーカーとしての知見を指導に直結。フットバーの高さ・スプリングバーの位置など機材調整精度が高く、さまざまなボディタイプへの対応が得意。器具ごとに個別受講できる柔軟なカリキュラム。
Allegro 2 / Revo / Infinity などの自社モデルを推奨。スプリングは赤(強)・青(中)・黄(軽)・緑(最軽)の4〜5本構成でカラーコード管理。フットバーは6段階調整が可能。
Peak Pilates
🇺🇸 コロラド / クラシカル系クラシカルな種目順序・構成を重視しつつ、解剖学を補完的に加える。器具は「タワー」表記を使用する独自呼称あり。比較的手頃な価格帯でリフォーマー指導資格を取得できる。
Peak社製マシン(USD 2,500〜4,500)を推奨。スプリングは赤(重)・黄(中)・青(軽)の3種構成でシンプル。クラシカル機材との親和性も高い。
流派別・推奨マシン&スプリング早見表
| 流派 | 推奨マシン | スプリング構成 | 機材の縛り |
|---|---|---|---|
| BASI | BASI Systems(専用機) | 4本・独自テンション / EPS連動 | 専用機との親和性高。他機材では一部キュー変更が必要 |
| STOTT | Merrithew V2 Max Plus | 4〜5本・100%/50%/25%比率表記 | 国際流通量が多く、国際的な現場での汎用性が最高水準 |
| PHI | 汎用機(BB / ALIGN等) | メーカー依存 | 特定機材への縛りが少なく、どのマシンでも応用しやすい |
| Polestar | Balanced Body(主に使用) | 4〜5本・カラーコード | 特定機材縛りなし。BB機材との親和性が高い |
| Balanced Body | Allegro 2 / Revo / Infinity | 5本(赤・青・黄・緑)/ フットバー6段階 | 自社マシンでの指導を最前提とした教育体系 |
| Peak | Peak Pilates製マシン | 3本(赤・黄・青)シンプル | クラシカル機材との親和性あり。費用が比較的低め |
この記事のまとめ
- ピラティス流派は「クラシカル系」「コンテンポラリー系」「リハビリ系」の3カテゴリに大別できる
- BASIは「フロー・審美性・国際性」、STOTTは「解剖学・専門性・医療連携」、PHIは「評価→処方」がそれぞれの強み
- リフォーマーでは流派によって推奨マシン・スプリング表記・キューイング体系が異なる
- BASIはBASI Systems専用機との親和性が最も高く、STOTTはMerrithew機材で国際汎用性が高い
- PHI・Polestarは汎用機対応で特定機材への縛りが少なく、医療職との連携を重視する
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